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インドの眼鏡チェーンLenskartが、設計から製造、店舗販売、アプリまでを自社で一つにつなぐ事業モデルで存在感を高めている。2,000店を超える実店舗に加え、ネット販売や自宅での視力検査も展開する。主な収益源は処方眼鏡、サングラス、コンタクトレンズ、視力検査である。ラジャスタン州ビワディの自動化工場では、処方度数に合わせたレンズの加工と組み立てをまとめて処理する。これにより、店舗側が完成品の在庫や運転資金を抱え込む負担を軽くできる点が特徴だ。
引用元: Lenskartの垂直統合型オムニチャネル眼鏡事業が拡大(KoalaGains)
分析・見解
工場に作業を集めると、店は売ることに専念できる
従来の眼鏡店は、店ごとにレンズを加工し、フレームに組み込んでいた。熟練の職人が必要で、店が増えるほど人も機械も増える。Lenskartは、この工程を大きな自動化工場に集めた。店舗は視力を測り、似合う一本を選んでもらい、注文を送る役に集中できる。
眼鏡は一人ひとり度数が違う、いわば受注生産の商品である。だから本来は規模のメリットが出にくい。そこを機械で標準化し、処方データから加工条件を自動で決めることで、量産に近い効率を得ている。
在庫と運転資金の重さが、出店ペースを決める
眼鏡店の資金を最も圧迫するのは、フレームとレンズの在庫である。種類が多く、流行も変わる。売れ残れば値引きするしかない。
Lenskartの方式では、完成品を店に大量に置く必要が薄い。店頭には見本を並べ、実際の商品は注文後に工場で作る。これは、出店のたびに必要になる仕入れ資金を小さくする。2,000店を超える規模に短期間で届いた背景には、この身軽さがあるとみられる。
似た例は、衣料の分野にもある。ZARAは企画から生産、配送までを自社で近い距離に置き、売れ行きに合わせて素早く入れ替える。眼鏡でも、作る場所と売る場所を一つの会社がつなぐ利点は同じ構造である。
店、アプリ、自宅検査が一つのデータでつながる
もう一つの強みは、顧客の情報が途切れないことだ。店で測った視力、アプリで試着した顔の画像、自宅検査の結果が、一つの履歴にまとまる。買い替えや追加のサングラスのとき、数分で注文できる。
コンタクトレンズは繰り返し買う商品なので、アプリとの相性が良い。視力検査という入り口で顧客を取り込み、レンズやサングラスで継続的に売る。検査を単なるサービスではなく、顧客をつなぎとめる入り口として使っている点が、見落とされやすい工夫である。
垂直統合の弱点は、止まったときの影響の大きさ
もちろん、良い面ばかりではない。工場が一か所に集中すると、事故や停電、物流の乱れが全店に響く。設備投資も重く、売上が計画に届かなければ固定費が利益を削る。
また、各国の規制や検査の資格の違いが壁になる。インドで通用する仕組みを、そのまま他国へ持ち込むことはできない。今後は、工場を複数に分けて危険を散らしつつ、現地の規則に合わせて運用を調整できるかが問われる。
ビジネスへの影響
日本の眼鏡店は、加工の外部化から始められる
自前で巨大工場を持つ必要はない。まず、自店の加工作業のうち、時間がかかる割に差が出にくい工程を洗い出したい。レンズ加工を外部の専門工場へ任せ、翌日に受け取れる体制を整えれば、加工室の人手と機械を減らせる。浮いた時間は、接客や視力測定の質を高めるのに回せる。
在庫を持つ量を、数字で決め直す
店頭に置く完成品を減らす判断は、感覚ではなく数字でするべきである。過去一年の販売データから、よく売れるフレームの上位二割を特定し、それ以外は見本展示と取り寄せに切り替える。在庫回転日数と、置き場所に使っている面積あたりの粗利を毎月見れば、無駄が見えてくる。
検査を入り口に、買い替えの道筋を作る
視力検査の結果を、アプリや会員証に残して次回の注文につなげる。数年後の買い替え時に、同じ店に戻ってもらう仕組みである。まずは顧客の処方記録を整え、連絡の許可をとることから始めたい。小さな店でも、台帳の整備だけで再来店の確率は上がる。
